確定判決が出ている場合の時効
1 そもそも時効とは何か
たとえば、AさんがBさんに100万円貸した場合、弁済期がくれば、Aさんは、Bさんに対し、100万円のお金の支払いを求める権利を持つことになります。
では、Aさんは、100万円のお金の支払いを求める権利を、いつまでも持っておくことができるのかというと、それは難しい場合があります。
法律では、一定期間、権利を使わないと、時効によって、権利が消滅してしまいます。
これを、消滅時効といいます。
消滅時効の期間は、権利の内容によって異なりますが、消滅時効の期間が満了した後に、債務者が、時効を援用すると主張した場合、権利は消滅してしまいます。
2 裁判を起こされた場合、時効はいったんストップする
債権者からすると、時効がきてしまえば、権利を行使することができなくなってしまいかねません。
そこで、法律上、時効をストップさせる制度が存在します。
そのうちの1つが、裁判を起こすことです。
たとえば、あと半年で時効になってしまうという場合に、とりあえず裁判を起こしてしまえば、いったん時効のカウントはストップし、裁判が続いている間は、時効になりません。
3 確定判決が出ていると、10年が時効の期間になる
債権者が裁判を起こして、折り合いがつかなければ、判決が出ることになります。
判決が出た場合であっても、判決に対する不服申し立ても可能なので、まだ判決が確定するわけではありません。
しかし、不服申し立てをしなかったり、あるいは不服申し立てを重ね、最終的な判決が出た場合は、判決が確定することになります。
判決が確定すると、消滅時効は10年になります。
たとえば、AさんがBさんに対して有していた100万円を返せという権利が、あと1年で時効になるという時に裁判を起こし、2年後に判決が確定した場合は、判決が確定した時から10年間は消滅時効にならないということになります。
仮に、それでもBさんが、100万円を返さないまま、長期間が経過してしまいそうな場合は、また裁判を起こして、確定判決を得れば、そこからさらに10年間は、時効によって消滅しないということになります。