支払督促と時効
1 支払督促とは何か
支払督促という言葉は、あまり見慣れない言葉かもしれません。
その文言からは、債権者が債務者に対し、請求書を送って、金銭の支払いを求めるようなイメージを持ってしまいがちですが、支払督促は、裁判所を通して行う手続きという点に、大きな特徴があります。
たとえば、A社がBさんに対してお金を貸していた際、A社が、裁判所に申し立てて、裁判所が、Bさんに支払いに応じるかどうかを求めてくることになります。
2 支払督促が届くと必ず支払いをしないといけないのか
支払督促は、裁判所がお金を支払えという命令をしているわけではありません。
その請求内容に異議がある場合、裁判所に対し、異議を申し出ることができます。
先程の例で言えば、Bさんは、A社の請求内容に異議がある場合は、その旨を書面に記載し、裁判所に提出することになります。
3 時効になっているはずなのに、支払督促が届いたら
最後の返済から、かなり長期間経過しているにもかかわらず、支払督促が届いた場合は、どのように対応すべきでしょうか。
まずは、冷静に、時効になっているかどうかを判断しましょう。
時効になる期間は、どのような権利に関する請求かによって変わってくるため、請求の根拠と、最後の取引の時期を調査しましょう。
時効が成立しているようなら、支払督促に対する異議申立書に、その旨の記載を行います。
時効は、時効の主張をして初めて効力が生じるので、時効を援用する旨をはっきりと記載しましょう。
4 支払督促に異議を出した後の対応
支払督促に対し、時効などを理由に異議を出した場合、通常の裁判手続きに移行します。
後日、簡易裁判所に対し、答弁書という書面を提出し、そこに消滅時効を援用する旨を改めて記載しましょう。
5 債権者に直接連絡することは避けましょう
せっかく時効が成立しているという場合であっても、時効は、その旨の主張をして初めて効力が発生します。
その効力発生前に、債権者に連絡を取り、債務の存在を認めるような行為をしてしまうと、時効の主張ができなくなってしまう可能性があります。
そのため、支払督促が届いても、債権者に直接連絡することは避けましょう。